2級電子機器組立て技能士
2016/5/14 2021/6/30
厚生労働省が定めた実施計画に基づいて技能検定制度があり、働く上で身につける技能の習得レベルを評価する 国家検定制度です。2018年現在、128種類の試験項目に電子機器組立て技能士があり、合格すれば技能士と名乗ることができます。
なお、試験問題等の作成については中央職業能力開発協会が、試験の実施については各都道府県がそれぞれ行うこととされています。また、各都道府県の業務のうち、受検申請書の受付、試験実施等の業務は各都道府県職業能力開発協会が行っています。
技能検定には、特級、1級、2級、3級で区分するもの、単一等級として等級を区分しないものがあり、それぞれの試験の程度は以下のとおりです (2018年現在)。
区分 | 試験の程度 | 受験資格 |
---|---|---|
等級 | 管理者または監督者が通常有すべき技能の程度 | 1級合格後 5年以上 |
1級 | 上級技能者が通常有すべき技能の程度 | 実務経験7年以上 |
2級 | 中級技能者が通常有すべき技能の程度 | 実務経験2年以上 |
3級 | 初級技能者が通常有すべき技能の程度 | なし |
単一等級 | 上級技能者が通常有すべき技能の程度 | 実務経験3年以上 |
私が取得した、2級電子機器組立て技能士について説明します。
1980年代、20代の頃にこの資格があることを知り受検を考えましたが、技能試験は4時間 (打ち切りは4時間30分) もあり、内容は難しく受検費も高かったので諦めていました。当時の私の仕事は束線図を使って配線を作ったり、外注業者に依頼して製品を組み立てたりしていました。しかし、時代と共に工数を減らすため、極力、配線をしない方向で設計され、受検者数は減ってきたようです。
2014年、会社に受検案内がきてビックリし懐かしく当時のことを思い出しました。20代、30代の社員に受検しようかと声をかけ、私を含む3人で申込みをしました。ちょっと勇気がいりましたが、今しかチャンスはないと思い初心に返って受検することにしました。
最終的には、この省エネコントローラーを組み立てて動作確認、技能試験合格後、学科試験を受検することになります。
まずは、土日2日間の事前セミナーに参加、学科講習と技能講習を受けました。初日の午前中に学科講習があり、午後からの時間と翌日は技能講習でした。技能試験に関しては、事前セミナーを受けないと、いきなりの受検は厳しいです。
メイン基板と7セグメントLED基板に電子部品を鉛フリーはんだで実装しますが、メイン基板は部品面、はんだ面と部品点数が多いので、試験の時に回転できる治具を作りそれを使いました。100円ショップで売っている、テレビ回転台を使って手元にあった板にスペーサを取り付けました。
このスペーサーにメイン基板を置きます。
こんな感じで回転して部品を実装していきました。
ちなみに、はんだ面は、こんな感じです。
完成した省エネコントローラー、真上から見たところ
裏側から見たところ
裏側のアップ写真です。
ちょっと、上から見たところ
後ろから見たところ
正面の7セグメントLED基板
メイン基板を上から見たところです。
後ろのスイッチ、ヒューズ、端子まわり配線
配線の形をつける為に束線図を利用し、ポイントに束線釘を打ちます。この作業は暗記しないと試験時間に間に合いません。
8時15分に点呼が始まり、試験内容の説明、部品確認があり、9時に技能試験開始、4時間後の13時を告げられ13時30分まで延長でした。
動作確認後、本体に傷がないこと確認して、試験立会人の方に終わりましたと手を挙げ、製品に受験番号を書いた札をつけて所定の場所に置いて退室します。採点は減点方法で4時間以内に終了させ、4時間を超えると時間毎に減点となり4時間30分で締め切りとなります。
自宅で練習していた時の時間測定では4時間を切ることはなく、4時間20分位でギリギリでしたが、試験当日は、4時間3分で9名中、2番目でした。
事前の説明では、試験中はトイレに行ってもよいとの事でしたが、誰もトイレに行かず、私は時間が足りなく集中していたので、すっかり忘れていました。終わってから目が疲れ頭がクラクラになり、4時間ずっと座って集中していたので、どっと疲れが出ました。当日、息子から蛍光灯スタンドを借りて使いましたが、持参したのは私だけでしたが、細かな部品もよく見えて正解でした。
数週間してから技能試験合格の通知が届き、約1ヶ月後に学科試験がありました。学科試験は事前に演習問題、解説集を頂き、ほとんどそこからの問題が出され、電気の基礎から広い範囲の内容でした。
しかし、鉛フリーはんだは難しいですね。温度管理もそうですが、はんだが、はんだこてから離れてくれません。修正のためにもう一度、はんだごてを当てると汚くなり、フィレットができません。チップ抵抗は、3216サイズ (3.2mm×1.6mm) で比較的大きく、はんだ付けしやすかったです。手はんだでは、1608サイズ (1.6mm×0.8mm) が限界 (1005までいける?) かな?と思います。
時代とともに、ものづくりも進化するので現状に満足せず、勉強を怠らず、スキルアップしていかないとと痛感した次第です。
20代の頃から気になっていた資格でしたので、50代になってチャンスが到来し結果が出せたときは嬉しかったです。30年以上、ずっと製造業に従事していて、よかったと思いました。