電子工作で使う必要な工具
2018/3/27 2020/7/24
私がふだん使っている、電子工作で使う必要な工具を紹介します。
電子工作をするためには、電子部品と電子部品、電子部品と電線、電線と電線を接続して回路を構成します。それには電子部品の足を切断(リードカットと言います)したり、曲げたり、掴んだり、電線とつなげたりする工具が必要です。
ニッパ
電子部品の足を切断したり、電線を切断したりするときに使います。大小、さまざまな種類があり、鉄線・銅線を切断する、切断能力というスペック(仕様)があります。硬いもの、太いものを切断しようと思えば大きなニッパが必要になり、小さなニッパで硬いもの、太いものを切断すると刃が欠けてしまうので用途に応じて使い分けましょう。
一般的なニッパで、少し大きな部品の足を切断したり、電線を切断したりするのに使います(メーカ:フジ矢、型番:60-125、スタンダードニッパ:鉄線Φ1.2mm、銅線Φ2.0mm)。
一般的なニッパで、主に電子部品の抵抗器、コンデンサなどの足を切断するときに使います(メーカ:ホーザン、型番:N-32、ミニチュアニッパ:銅線Φ2.0mm)。
細かな部品の足を切断したり、連続して作業をするときに使います。中にコイルバネが入っているので、閉じて離すと自動的に開いて疲れません(メーカ:ホーザン、型番:N-31、ミニチュアニッパ:銅線Φ1.3mm)。
ワイヤーストリッパー
電線を切断したり、被覆電線の被覆を剥がすときに使います。電線の太さは、AWG(米国ワイヤーゲージ規格 American Wire Gauge)で表されます。
被覆電線の太さに応じて刃を選びます(左 [仕様:AWG30~18、メーカ:ベッセル、型番:3500E-2]、右[仕様:AWG24~12、メーカ:ベッセル、型番:3500E-1] )。
ラジオペンチ
電子部品の足や電線を掴んだり、曲げたりするときに使います。ラジオペンチには大小、さまざまな種類があります。
コンパクトな汎用型のラジオペンチでナットなどが挟めるように、くわえ穴が付いています(メーカ:ホーザン、型番:P-15)。
精密作業用のミニチュアラジオペンチで細かな部品を掴むときに使います。中にコイルバネが入っているので、閉じて離すと自動的に開いて疲れません(メーカ:ホーザン、型番:P-35)。
ピンセット
細かな部品を掴んだりするときに使います。ピンセットには大小、さまざまな種類があります。一般的に材質はステンレスですが、電気を通さないセラミック、竹などがあります。大きなもの、重たいものを無理に掴もうとすると先端が曲がってしまうので用途にあわせて使います。最初は一般的なピンセットで十分で、レベルが上がれば使い分けていきましょう。
一般的なピンセットです(メーカ:ホーザン、型番:P-87)。
細かな部品を掴むときに使います(メーカ:ホーザン、型番:P-881)。
表面実装部品(SMD)を掴むときに使います(メーカ:エンジニア、型番:PT-21)。
先が曲がったタイプで、狭いところでも掴んだものが見えます(メーカ:ミネシマ、型番:F-5 AA先曲ピンセット)。
はんだこて・こて先
はんだという合金を熱で溶かして、電子部品と電子部品、電子部品と電線を接合して回路を作っていきます。はんだこては電力の表示(W数)があり、電子部品用には20W~30W程度、電線用には太さにもよりますが、30W~50W程度のものを使います。こて先は色々な形状があり、容易に交換できるようになっています。安価なものは、こて先の温度が制御できないものもありますが、はんだ付けの品質に影響するので、できれば温度制御付きのものが望ましいです。
はんだこては、はんだ付けの品質に影響するので温度制御付きのものを使います(メーカ:白光、型番:FX-600)。
こて先です。左が先端を平たくしたタイプ、右が円錐型のタイプ
はんだこて台
はんだこてを置く台です。はんだこてのこて先を清掃するのに、スポンジタイプとワイヤータイプがあります。スポンジタイプは少量の水を浸して使いますが、その際、こて先の温度が下がります。ワイヤータイプは水を含まないので、こて先の温度を下げることなく清掃できます。
はんだこてを置く台です。こて先の清掃は共晶はんだ、鉛フリーはんだによって、スポンジタイプ、ワイヤータイプと替えています(メーカ:白光、型番:633-02)。
はんだ
はんだには、鉛を含むものと鉛を含まないものがあり、一般的に鉛を含んだものを共晶はんだと言い、すずと鉛の合金です。鉛を含まないものを鉛フリーはんだと言い、すず、銀、銅の合金です。はんだの形状は、クリーム状のもの、棒状のもの、糸状のものがあり、電子工作ではΦ0.6mm~Φ1.0mmあたりの糸状のもの(糸はんだと言います)を使います。
共晶はんだ(すず60%、鉛40%)、太さはΦ1.0mmです(メーカ:日本アルミット、型番:KR-19)。
鉛フリーはんだ(Sn-3Ag-0.5Cu)、太さはΦ0.6mmです(メーカ:ホーザン、型番:HS-302)。
フラックス
フラックスは、はんだを潤滑にするための促進剤です。通常ははんだの中に入っています(ヤニ入りはんだと言います)が、はんだの拡がりが悪い場合に使います。また、基板銅箔面の酸化防止の効果もあります。
左のものにはキャップに刷毛が付いていないので別に刷毛が必要ですが、右のものには付いています(左[メーカ:サンハヤト、型番:H-10F]、右[メーカ:白光、型番:H-728])。
はんだ吸取線
はんだ付けした部品を取り外すとき、または間違ってはんだをしたときなど、はんだを除去したいときに使います。はんだこてではんだを溶かし、溶けたはんだをこの吸取線で吸い取ります。長い時間、はんだこてを当てると熱で部品が壊れたり、基板パターンが剥がれたりするので、テクニックが必要です。色々な種類があり吸取線の長さ、幅があります。
左は幅5.0mm、右は幅2.5mmのはんだ吸取線(左[メーカ:サンハヤト、型番:No.87-6]、右[メーカ:サンハヤト、型番:No.87-4)
はんだ吸取器
はんだ吸取ポンプとも言い、はんだ吸取線と同じように、はんだを除去したいときに使います。電動で吸い取るタイプと手動で吸い取るタイプがあり、電動タイプは高価なので手動タイプのものを使っています。使い方は先端の棒を押して引っ掛け、それを解除することでバネの力を利用して真空を起こし、はんだを吸い取ります。吸い取られたはんだは本体の中に溜まるので時々、分解して除去します。先端は、はんだごてと接触して溶解するので時期を見て交換します。
はんだ吸取器、到達真空度は約50kPa、よく吸い取ります(メーカ:ホーザン、型番:PT-109)。
試作・実験用の基板ほか
電子工作の試作で使うブレッドボード、ユニバーサル基板などです。
ブレッドボード
はんだ付けが不要で、電子部品やジャンパーワイヤを穴に差し込んで回路を組み立てられるボードで、色々な大きさがあります。
使い方については、ブレッドボードの使い方を参照ください。
左が大きいタイプ(メーカ:E-CALL ENTERPRISE、型番:EIC-108J)、右が小さいタイプ(メーカ:E-CALL ENTERPRISE、型番:EIC-801)です。
ブレッドボード用のジャンパーワイヤセット
みのむしクリップ付きコード
電線の先端は挟めるようにクリップになっており、これらを接続して回路を構成します。
左が小さいみのむしクリップ、右が大きいみのむしクリップ
ユニバーサル基板
電子回路を製作するときに使います。基板の材質は紙フェノールタイプとガラスエポシキタイプがあり、ランドが片側にあるものと両側にあるものがあります。
サイズは、縦132mm、横232mm、片面の紙フェノールです。電子部品を実装する面なので部品面(表面)と言います(メーカ:サンハヤトト、型番:ICB-98-FL)。
はんだする面(裏面)なので、はんだ面と言います。
はんだ面のアップです。穴の空いたランドはΦ1mm、ランドの間隔は2.54mmです。
すずめっき線
ユニバーサル基板で配線するときに使います。サイズはΦ0.32mm~Φ2mmくらいの種類があります。主に電源ラインで使いますが、電子工作の場合は余り太いものは使いません。
Φ.6mm すずめっき線(メーカ:協和ハーモネット、型番:TCW)
ジュンフロンETFE電線
ユニバーサル基板で配線するときに使います。私は、Φ0.32mm(AWG28)使って主に信号ラインで使います。
ラッピング用ジュンフロンETFE電線Φ0.32mm(AWG28)(メーカ:潤工社、型番BE030A030)
その他
必須ではありませんが、あれば作業がはかどります。
ヒートクリップ
はんだこての熱で電子部品が壊れないように電子部品の足に挟んで放熱させ、熱から保護するためのクリップです。
IC引き抜き治具
ICソケットに挿入した、DIP型、PLCC型のICを引き抜くための治具です。
ハンドルーペ
細かな部品を見たいときに重宝します。スイッチを押すとLEDランプが光ります。2級電子機器組立て技能士の技能試験で使いました(メーカ:オーム電機、型番:BT-Z0288PL)。
ルーペ付きLED卓上スタンド
ハンドルーペと違い両手が使えるので本格的な細かい作業をするときに重宝します。ルーペの周りには LED が実装されよく見えます(メーカ:オーム電機、型番:ODS-L8093-W)。
まとめ
ここで紹介したニッパーなど一部の工具は、100円ショップなどでも揃えることができます。
私も使っていますが、やはり「餅は餅屋」です。取っ掛かりとして使う分にはいいと思いますが、メーカー品はよく研究されており手に馴染んで手放せなくなります。
色々なメーカーから販売されていますので使いやすく、気に入った工具を探してみてください。
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