ユニバーサル基板の製作

ユニバーサル基板,配線,ジュンフロン電線,手組み基板 2020/7/25

 

 

ブレッドボードの使い方で製作した、無安定(非安定)マルチバイブレータ回路をユニバーサル基板に配線してみます。「手で配線して組立てする基板」という意味から手組み基板と言われることもあります。

 

 

 

製作の準備

秋月電子通商で購入した「片面ガラスコンポジット・ユニバーサル基板 Cタイプ めっき仕上げ」を使います。基板寸法は 縦72mm×横47mm、穴の数は 縦25×横15 です。ユニバーサル基板の部品面の穴に部品のリードを挿入し、裏側のはんだ面ではんだ付けをしていきます。

 

部品面

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はんだ面

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部品を用意します。

 

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10KΩ炭素被膜抵抗器、100Ω炭素被膜抵抗器、アルミ電解コンデンサ、2SC1815トランジスタ、赤色のLEDです。アルミ電解コンデンサは手持ちにあった 47uF 50Vのものを使用しました。部品の詳細については、ブレッドボードの使い方[その3]に部品表を載せていますので参照ください。


部品配置の検討

部品の配置を検討します。
ここでは、フリーウェアのユニバーサル基板用回路図エディタmarmeloを使用させてもらっています。最近では小さなチップ部品が多くなり、気軽にユニバーサル基板で製作するには敷居が高くなりましたが、まだまだリードタイプのディスクリート部品が活躍しています。

 

部品の配置は上がプラス(+)、下がマイナス(-)になるようにして、その間に部品を置いていくイメージで考えました。部品面から裏側のはんだ面を見る時は、ひっくり返して見る(ミラー反転)ので注意が必要です。

 

部品面

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はんだ面

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ユニバーサル基板の配線

ユニバーサル基板の四隅の丸穴にスペーサーを取り付けます。これは部品を挿入してはんだ付けをする際、ユニバーサル基板をひっくり返してはんだ面にはんだ付けをするので部品が机の上に当たって曲がったり傷がついたりするのを防ぐためです。

 

私は手持ちにあったM3ネジ、長さ25mmの BSB-325E(廣杉計器)のスペーサーを利用しました。準備ができない場合は、はんだ付けをする際に部品が机の上に当たらない高さの台などを利用すればと思います。

 

ここで使っている工具などは、電子工作で使う必要な工具で紹介していますので参照ください。

 

スペーサー取付け

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横から見た所

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最初に炭素被膜抵抗器のリードをラジオペンチで曲げていきます(以下、抵抗器といいます)。

 

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抵抗器のリードをラジオペンチで挟みますが、リードの間隔は約10mm(正確には 10.16mm)になる位置で挟みます。これはユニバーサル基板の穴と穴の間隔を4ピッチの長さで部品を挿入するためです。

 

私は持っていないのですが、サンハヤト社にリードベンダー(RB-5)というリードを曲げる治具があり簡単に曲げることができます。

 

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挟んだリードを曲げていきます。


 

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このように直角に曲げて反対側も同じようにします。


 

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リードの間隔は10mmです(計算上では 2.54mm×4ピッチ = 10.16mm)。


 

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左から 100Ω(R1)、10KΩ(R2)、10KΩ(R3)、100Ω(R4)の抵抗器を挿入していきます。


 

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裏側のはんだ面に出たリードは、抜けないように少し広げます。


 

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ユニバーサル基板のランドにリード足をはんだ付けしますが、今回は鉛フリーはんだに挑戦してみます。はんだのこて先はリードの根本に当てて熱が伝わった頃(2,3秒程度)に、はんだを付けて溶かしていきます。


 

鉛フリーはんだは、はんだが溶ける温度(融点)が共晶はんだより 20℃~30℃ほど高く熱でランドが剥がれないか心配ですね。
はんだごては FX600(白光)、こて先は先端が平らになっている T18-D16(白光)、鉛フリーはんだは HS-302(ホーザン)を使用し、はんだごての温度は経験上から 370℃に設定しました。ちなみに共晶はんだの場合は 320℃で使っています。

 

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はんだごての温度は 370℃に設定


 

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はんだ付けをした状態です。


 

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リードをニッパで切断していきます。


 

LEDを取り付けます。極性があるので、リードの長い方がプラス(+)となり抵抗器側になります。

 

LED取付け

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取付け完了

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アルミ電解コンデンサを取り付けます。極性があるので、お互いのアルミ電解コンデンサのマイナス(-)表示が内側になるように取り付けます。

 

アルミ電解コンデンサ取付け

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取付け完了

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トランジスタを取り付けます。2SC1815という品番を正面に見て左からエミッタ(E)、コレクタ(C)、ベース(B)のリードとなります。

 

トランジスタ取付け

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取付け完了

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全ての部品を取り付けました。はんだ忘れがないか確認します。


 

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ここから部品と部品を配線していきますが、ここでは直径 0.6mmのすずめっき軟銅線(以下、すずめっき線)を使っていきます。


 

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すずめっき線は約30cmの長さに切断して両端をニッパで引っ張り、たわみを取り除きます。こうすることで、はんだの熱ですずめっき線が少しでもたわむのを防ぎます。


 

R1~R4抵抗器のプラス(+)側電源の配線を作っていきます。すずめっき線の先端を予備はんだして R4抵抗器の上のランドにも予備はんだをします。

 

すずめっき線に予備はんだ

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ランドにはんだ付け

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反対側の端のランドまで、すずめっき線を持っていきニッパで切断します。すずめっき線の先端に予備はんだをしてピンセットで押さえはんだ付けをします。

 

ニッパで切断

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ランドにはんだ付け

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すずめっき線の端をはんだで押さえたので、途中の R1~R3 抵抗器の上のランドとすずめっき線をはんだ付けします。すずめっき線は、はんだの熱でたわんでくるので、それを押さえるためにピンセットを使います。すずめっき線と抵抗器をはんだ付けしてプラス(+)側の配線が完成します。

 

ランドにはんだ付け

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プラス(+)側完了

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同様に、すずめっき線がたわまないようにピンセットで押さえてはんだ付けします。

 

はんだ付け

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配線途中

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Q1 トランジスタのベース(B)から C2のアルミ電解コンデンサのマイナス(-)配線は、はんだ面で交差するため、それを回避するために 「コの字」 のジャンパー線を製作します。すずめっき線を適当な長さで切断し、抵抗器のリードをラジオペンチで曲げたように製作します。リードの幅は2ピッチ(5.08mm)で部品面から挿入します。

 

すずめっき線をカット

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ジャンパー線

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部品面からジャンパー線を挿入して、はんだ面ではんだ付けをします。

 

ジャンパー線を挿入

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はんだ付け

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抵抗器の上側をプラス(+)配線、トランジスタのエミッタ(E)側をマイナス(-)配線にしたので、単3電池ボックスの配線をみのむしクリップで挟めるように、これも「コの字」のジャンパーを取り付けました。

 

プラス側のジャンパー線

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配線完了

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スペーサーを取り外して完成です。

 

部品面

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はんだ面

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2級電子機器組立て技能士の技能試験では、プリント基板に挿入したリードは、はんだ面で折り曲げてはんだ付けすることになっています。これははんだ付けを確実にするためですが、ユニバーサル基板の場合は色々な方法がありますので、あくまでも参考にして頂けたらと思います。

 

また今回は、鉛フリーはんだを使用しましたが、やはり熱をかけすぎるとランドが剥がれてしまいました。平らなこて先を使ったのも要因にあると思いますが、こて先の選定、温度設定、はんだごてを当てる時間などのノウハウが必要と思います。

 

鉛が入っている共晶はんだの方がやりやすいのですが、こだわっているといつまでも新しい技術が習得できないのと環境に配慮したものづくりを考えると慣れていくしかありません。欧州ではRoHS(ローズ)指令といって、鉛を使った電子・電気機器への使用禁止が2006年7月から施行されています。やはり時代の流れでしょう。

動作確認

電池ボックスに単3電池を入れて赤のプラス(+)をユニバーサル基板のプラス(+)側ジャンパーに、黒のマイナス(-)をユニバーサル基板のマイナス(-)側ジャンパーに、みのむしクリップで接続します。

 

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電源が入ると、このように2個のLEDが点滅します。

 

無安定マルチバイブレータの部品点数は10点、ユニバーサル基板のサイズも小さいので、全てすずめっき線で製作できました。もっと大きなユニバーサル基板になれば、ジュンフロンETFE電線を使って、プリンターポートI/Oボックスの製作HD64180マイコンボードの製作のように配線します。

 

電源を入れる前に、テスターで配線チェックを行ないますが、この作業を怠って動作しない場合、回路設計が悪いのか、はんだ付けを忘れて配線が出来ていないのか、わからないことがあり調査に時間がかかります。

 

やはり、ひとつひとつの作業を確実にすることで単純なミスが減り、ものづくりの精度があがると思います。

 

 

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