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パターン転写シートによるプリント基板の製作

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パターン転写シートによる、プリント基板の製作方法を紹介します。

製作方法としては、こんな感じになります。

  1. 実現したい回路を設計し、プリント基板パターン設計をする。
  2. レーザー(トナー)プリンタを使って、プリントパターンをパターン転写シートに印刷する。
  3. トナーが付着したパターン転写シートは、熱と圧力を加えることによりカット基板に転写される。
  4. エッチングを行い銅箔は、パターンのある部分が残り、ない部分は溶ける。
  5. 銅箔に付着したパターン転写シートを除去する。これでプリントパターンが完成する。
  6. ドリルで基板に電子部品などを挿入する穴をあける。

 

私は回路図、プリント基板パターン設計に、フリーソフトのKiCadを使用しています。書籍として、トランジスタ技術2013年5月号、2016年7月号に特集が掲載されています。また、トランジスタ技術SPECIAL、一人で始めるプリント基板作り「完全フリーKiCad付き」があります。KiCad は、フリーソフトでありながら商用利用もでき使用期限もなく、高価なプリント基板CADに遜色ない性能を持っています。本当に有り難いことですね。この場を借りて感謝申し上げます。

DIP型のIC (300mil、600mil)、1608 (1.6mm×0.8mm) のチップ抵抗、チップコンデンサを使った、プリントパターンを基板にしたいと思います。最小パターン幅は、15mil (0.381mm) としました。基板サイズは、100mm×150mmとし、カット基板は、サンハヤト社製 100mm×150mm×1.6t (No.12 片面紙フェノールFR-1) を使います。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

パターン転写シートに、Techniks社製の [Press-n-Peel Blue Transfer Film]を使いました。他にも転写シートはあるようですが、今のところ、これしか使ったことがありません。 aitendoさんにも安価なパターン転写シートが販売されていますが、このパターン転写シートがなくなったら、使ってみようと思います。

Press-n-Peel Blue Transfer Film パターン転写シート

 

基板外形の外枠 (KiCadでは、Edge.Cutsのみにチェック) をA4用紙に印刷します。これで、だいだいの位置を把握します。左上にある丸印は、プリンターに用紙を挿入する方向です。挿入方向を反対にすると位置がずれてしまいます。

転写フィルによるプリント基板の作り方

 

基板外形の外枠より少し大きくパターン転写シートをカットし、光沢がない面を上にして、まわりはセロハンテープで止めていきます。この光沢がない面にプリンターのトナーを付着させるというイメージです。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

パターンを印刷します(KiCadでは、導体レイヤ B.Cuにチェック)。片面基板ですので、この面が、はんだ面になります。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

基板外形をハサミで切ります。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

カット基板は、銅箔に付着した油などを除去する為、スチールウォールを使って磨きます。私は100円ショップのものを使っています。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

パターンを印刷した方をカット基板側にして合わせ、まわりは、耐熱テープで固定します。普通のセロハンテープでは、熱でネチャネチャになります。耐熱テープは、秋月電子通商の耐熱テープ(ポリイミドテープ)10mm幅を使っています。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

ここで、熱と圧力を加えるため、ラミネーターを使います。これもパターン転写シートで定番?のアイリスオーヤマ社製 LTA42Eを使います。ガイドを外して電源スイッチは、C の位置にします。本来の仕様はラミネーター厚さ150ミクロンとなっていますが、そこに基板厚さ 1.6mm のものを通すので約10倍の規格外れになるので、ちょっと心配。色々と試行錯誤の結果、連続して8回通します。通す回数は、周囲の温度変化が関係してくるのかも知れません。基板は熱くなるので軍手をして作業をします。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

ちょっと、カメラのフラッシュが反射してしまいましたが、パターンが、くっきり見えてきました。ちゃんと転写しているようです。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

自然冷却させて手で触れるようになったら、ゆっくりと端の方からパターン転写シートをめくっていきます。この瞬間が緊張します...ガ~ン!、右上の方が転写されていません!、失敗したぁ~

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

こういうときは、パターン転写シートをアセトンで除去し、元の状態に戻して、再度、挑戦します。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

テッシュペーパーにアセトンを染みこませ拭いていきます。アセトンは有機溶媒(有機溶剤)なので、換気を十分にして取り扱いには注意します。終わった後は手を洗いましょう。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

もう一度、挑戦!、今度はバッチリです(ちょっと基板サイズの違うパターンで行いました)。この部分はノウハウ的な要因が大きいのですが、私は自宅で、CANON社製、レーザービームプリンターLBP6040を使っています。印刷品質の設定で濃度を濃くしたり、薄くしたりと設定を変えながらベストとなる条件を探しています。ある条件で上手くいったので、数週間後に同じ条件で行ってもダメなときがありました。周囲の温度・湿度が関係するのか、わかりません。おそらく、トナー品質・転写・定着方法に影響されるようで、パターン転写シートとの相性もあると思います。もし、コンビニ等で手差しプリンターが使えるか、または、オフィス向け複合機が使えるのであれば、その方がベストかな?と個人的には感じています。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

バッチリとカット基板に転写しています。気持ちいいなぁ~。もし、パターン転写シートが転写されていない部分があれば、油性マジックで修正します。これから銅箔を溶かすエッチング作業を行いますが、青いパターンの銅箔が見えていない部分が残り、見えている銅箔を溶かします。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

パターン転写シート側(ネガ側)です。白い部分が転写された部分です。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

100mil (2.54mm) ピッチのCN6コネクタ部分です。サーマルランドも出ています。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

1608チップ抵抗、チップコンデンサ部分です。使えそうですね。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

エッチングを始めます。腐食液(塩化第二鉄液)を温めるサーモヒーターは、サンハヤト社製のTH-100、バットサイズは、190mm×235mmです。

サンハヤトのサーモヒーターTH100

 

腐食液(塩化第二鉄液)を用意します。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

パッドに腐食液(塩化第二鉄液)を 200cc 入れます。サーモヒーターのスイッチを入れ、時々、かき混ぜながら温度が約40℃になるまで待ちます。40℃を超えすぎると冷やすのに時間がかかります。また、季節によって温度上昇は違ってきます。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

基板を入れます。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

時々、かき混ぜながら銅箔が溶けているか確認します。早すぎても遅すぎてもダメです。一番、神経を使う作業です。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

銅箔が溶けていることを確認したら、テッシュペーパー等で十分に拭きます。拭いたら水で洗います。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

アセトンでパターン転写シートを除去し、念のため、もう一度、スチールウォールで磨きます。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

最小パターン幅は、15mil (0.381mm) です。10mil (0.254mm) もできた事があるのですが、この方式では精度が安定しません。これが限界かな?、パターン転写状態、エッチング状態で左右されますね。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

真ん中の下の方にある、1608チップ抵抗パターンです。何とか使えそうです。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

銅箔面を保護し、はんだ付けをよくするため、フラックスを塗布します。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

部品が入る、スルホールの穴をドリルであけます。必要に応じて、0.8mm、1mm のドリルを使い分けます。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

部品を実装しました。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

はんだ面です。はんだは、共晶はんだです。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

1608チップ抵抗、チップコンデンサです。何とか、実装できました。

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

このパターン転写シート方式を使う前は、パターンをインクジェットプリンターで、インクジェットフィルムに印刷し、フィルムを感光基板に露光、現像をしていました。しかし、この露光時間、現像時間、現像温度の管理が難しく四苦八苦していました。ネットで調べると、パターン転写シートで基板を製作する方法を知り、今では、ほとんどミスが少なくなりました。

インクジェットフィルムにパターンを印刷

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

感光基板に露光する、サンハヤト社製のちびライト

パターン転写シートによるプリント基板の作り方

 

1980年代の頃は、方眼紙に回路図を書き、その回路図から、テープ、レタリングを使ってOHPフィルムに貼り付けていました。紫外線蛍光灯を用意して、感光基板の上にOHPフィルムを密着させ、時間を計り露光してパターンを作っていました。 やがて、パソコンが普及し電子回路CAD、プリント基板パターンCADが出始めましたが、個人で手が届く価格ではありませんでした。1990年代に入り、インターネットが普及し始め、パソコンの性能も高性能になり価格も手ごろになってきました。今では、フリーソフトで高機能な電子回路CAD、プリント基板パターンCADを使って、ガーバーデータを出力し、それを基板製作業者にメールで送ると、数万円でプリント基板が個人でもできる時代になりました。電子部品もチップ化が当たり前となり、100mil (2.54mm) ピッチのユニバーサル基板を使って手組で製作することが少なくなってきました。

あとは、アイディア次第で何を作るか、でしょうか。

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